Speaker Review

業務用、Hi‑Fi、スタジオモニター、DIY、測定、DSPまで。直近7日間から、技術的に見逃したくない話題を選びました。

2026.08.12WEDNESDAY
HIGHLIGHTS3 MIN
FULL READ12 MIN

◆ TODAY'S HIGHLIGHTS

今日まず押さえたい4つ

1Gb / AoIP / USB-C NEW MONITOR1

Glensound、ネットワークモニターをさらに“システム寄り”へ

★★★★★

Greater Divine Supernalは1Gbネットワーク、8系統のネットワーク入力、USB‑C、ヘッドホン出力、EQ制御を統合。2026年末の出荷を予定しています。

なぜ重要? モニターが「音を出す機器」から、入出力と制御を担うスタジオのネットワークノードへ近づいています。
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ACOUSTIC CENTER / SPHERICAL EXPANSION RESEARCH WATCH2

ホログラフィ指向性測定では「音響中心」が測定効率を左右する

★★★★★

KlippelはISEAT 2026で、ホログラフィ測定における音響中心の推定法を発表予定。展開中心のずれが大きいほど、高い球面波展開次数が必要になります。

なぜ重要? 音響中心は表示上の基準ではなく、測定点数や演算量を抑えるための実務的な設計変数でもあります。
Klippel official →
7,000 INDIVIDUALLY AMPLIFIED DRIVERS INSTALLATION3

Radio City Music HallでSphere Immersive Soundが稼働中

★★★★☆

8月11〜17日のJoe Hisaishi公演では、Radio City Music HallのSphere Immersive Soundを使用。会場案内では約7,000基の個別増幅されたラウドスピーカードライバーを使うと説明されています。

なぜ重要? 大規模会場で「少数の大音量ソース」ではなく、多数の制御可能な音源で音場を作る思想が実運用されています。
Radio City Music Hall →
IMMERSIVE AES4

AES Latin American Conventionは本日最終日

★★★☆☆

AES Latin American Convention 2026は8月10〜12日にリマで開催。音響技術、ライブ、放送、テクノロジーに加え、Immersive Roomもプログラムに含まれます。

なぜ重要? スピーカー単体ではなく、空間再生やネットワークを含む総合的な音響システムが学会・展示の中心テーマになっています。
AES official →
COVER STORY

モニタースピーカーが「ネットワーク機器」になると、何が変わるのか

GlensoundのGreater Divine Supernalで面白いのは、単にDante対応であることではありません。1Gbネットワーク、複数のネットワーク入力、USB‑C、ヘッドホン出力、EQ制御までスピーカー側へまとめています。

こうなるとモニターは、アンプ内蔵スピーカーというより「音を出せるネットワーク端末」に近づきます。スタジオ側から見れば、入力切替、モニタリング、制御、診断を一つのワークフローへまとめやすくなります。

設計として見るなら: 今後のアクティブモニターでは、ドライバーやアンプの性能だけでなく、ネットワークの冗長性、レイテンシ、制御UI、ファームウェア更新までが製品体験の一部になります。
Glensound official →
8 × Network InputsUSB-CHeadphone OutEQ / Remote Control LOUDSPEAKER × DSP × NETWORK × CONTROL
音響ドライバー / アンプ / DSP
ネットワークAoIP / 複数入力 / 1Gb
UX制御 / EQ / モニタリング
NEW PRODUCTS

今週の製品

Glensound Greater Divine Supernal

ネットワーク、USB、ヘッドホン、EQを一体化したプロ向けスタジオモニター。出荷予定は2026年末。

今週の製品ニュースは量より質。 直近7日でスピーカーそのものの大型発表は多くないため、古い製品で無理に埋めません。

RESEARCH WATCH

測定技術

Acoustic Center Localization

KlippelがISEAT 2026で発表予定。音響中心から展開中心が大きく外れると、高次の球面調和成分が必要になり測定負荷が増えます。

TECHNOLOGY FOCUS

多数音源による音場制御

7,000ドライバーを個別に駆動する意味

多数の音源を独立に扱えると、音圧を稼ぐだけでなく、空間内のエネルギー分布を細かく制御できます。Radio City Music HallのSphere Immersive Soundは、その極端な実装例です。

INDUSTRY WATCH

今週の予定

AES LAC 2026
リマで開催。本日最終日。
AES Nashville
JAES paper presentation submission deadline。
ISEAT 2026
Klippelが指向性測定関連の発表を予定。
IBC 2026
GlensoundがGreater Divine Supernalを展示予定。
TECHNOLOGY FOCUS

音響中心は「どこから音が出ているように見えるか」だけではない

ホログラフィ測定で球面波展開を使うとき、展開中心が実際の音響中心から離れるほど、同じ音場を表すためにより高い展開次数が必要になります。

つまり、中心位置を適切に推定できれば、必要な測定点や演算量を減らせる可能性があります。大型スピーカーや複雑な音源ほど、この差が効いてきます。

展開中心必要次数測定負荷
音響中心に近い低く抑えやすい小さくしやすい
大きくずれる高くなりやすい増えやすい
green: acoustic centerorange: offset center

EDITOR'S NOTE

今日の4本をつなぐと、「スピーカーを単体で見る時代ではない」という共通点が見えてきます。Glensoundはモニターにネットワークと制御を取り込み、Klippelは空間測定から音源をより正確にモデル化し、Sphere Immersive Soundは多数の独立したドライバーで会場全体の音場を作ります。

ユニットの周波数特性や最大SPLだけで製品を比べるより、「何を測り、何を制御し、システムのどこまでを製品として扱っているか」を見るほうが、最近のスピーカー技術は読みやすくなっています。